倶楽部の救急箱

この度、チームの子供達に故障が多いので 色々と調べてみました。
その結果 成長期の子供達の多くにスポーツ障害が起こりやすい事がわかりました。
そこで 成長期に起こりやすい痛みについて掲載します。
ココに掲載している内容は全て
静岡県静岡市芳村整形外科さんのHPからの引用です。
かなり解かりやすい内容で為になると思います。
他にも スポーツ障害について為になる事柄が載っていますので、参考にしてください。
芳村整形外科:みんなのスポーツ医学
指導者及び保護者の方も良くご覧になって参考にすると為になります。


静岡市医師会HPもよろしく

以下:芳村整形外科・みんなのスポーツ医学の中から 
5.成長期に起こりやすい痛み
13.もう一度ストレッチについて考える

を抜粋して表示しました。詳しく載っていますので良くご覧ください。

「成長期に起こりやすい痛み」

   
  いわゆる骨端症(こったんしょう)とは、成長期に成長軟骨の部分で障害を起こす病気ですが、特にスポーツによって起こりやすくなります。

1.年齢で痛む部位が違う
成長する骨によって痛む場所と年齢が違います。かかと⇒小学2〜5年生膝⇒小学校高学年〜中学生腰⇒高校生 

2.かかとの骨端症
 10歳ぐらいの男児で走ることが多い子に多いようです。(図1)これは下腿3頭筋が、かかとの骨の成長軟骨を刺激することによって起こります。最初は走るとかかとが痛いといいます。

3.膝の骨端症
 オスグッド病として有名です。(図2)11歳から15歳ぐらいの走ったり・ジャンプするスポーツに出現します。たいていは18歳頃までに治りますが、お皿の下の骨がでたままになることもあります。


 

図1走ったり歩いたりすると踵が痛む
図2膝のお皿の下 が痛い
 

4.なぜ成長期に起こる。
 左の図は、足の骨と、運動する時一番よく使う足の筋肉の図です。
成長は、ほとんど骨だけがのび、筋肉はそれに伴って引っ張られて成長していきます。
そのためにこの時期には筋肉は伸ばされた状態になっています。(矢印@)
 10歳頃になるとふくらはぎの筋肉がついてるかかとの後面に成長軟骨が出現してきます。
ここが刺激されて痛むのです。(矢印A)
 12歳ぐらいになると、大腿前面の筋肉がお皿の下についているところ(B)に成長骨が出現するために成長軟骨が痛みやすくなります。(矢印B)                    
 
5.腰の骨端症
 あまり知られていませんが、中学から高校までのスポーツによる腰痛で案外多いものです。やはり骨盤に成長軟骨が出現するために起こります。しかし腰痛はスポーツ選手にとって致命傷なので、腰が痛ければすぐ専門医でレントゲン検査を受けた方が無難でしょう。

6.予防法は、
 年齢とオーバーユース(使い過ぎ)によるものが大半なので、成長期には、練習量・練習方法を考えることが重要ですが、ストレッチが不足していることも原因です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

   
 

T ストレッチの方法
 各筋肉を順番に伸ばしていきます。方法はいろいろありますが時間をかけて(10−20秒位)ゆっくり伸ばすのがポイントです。運動前に必ずおこなう習慣を付けましょう

 

@足指のストレッチ
  シンスプリントの予防です(図4)


A下腿三筋のストレッチ
どんなスポーツでも行うこと(図5)

B大腿4頭筋のストレッチ
  どんなスポーツでも行うこと(図6)

C大腿後面の筋肉のストレッチ
  腰痛と大腿後面の筋肉の柔軟性の低下は、とても関係があります。特に骨盤の痛みがある人は大腿が固いようです。(図7)

D背筋のストレッチ
  寝ておこなった方が安全です(図8・9)

E背筋のストレッチ
 捻る時は必ず寝て、特にゆっくり行う。

U いきなり運動しない
 運動前のウォーミングアップや、クールダウンは、当然です。さらに、運動の合間や、終了後のクーリング(水道水で、2−3分冷やす)なども有効です。 

V 筋肉のバランスを考える。
 同じスポーツばかりおこなっていると同じ筋肉しか使いません。週に2回ぐらいは、使わない筋肉を中心にウエイトトレーニングをおこなうことも防止になります。オスグッド病を防ぐためには、レッグカール、腰痛を防ぐために腹筋や背筋の強化が役立ちます。(図10.11.12.13)
 

レッグエクステンション(図10)
大腿4頭筋のトレーニング 

レッグカール(案外行われていません)(図11)
太ももの後面の筋肉のトレーニング 

腹筋(この図はクランチャースタイルで行ってます)(図12) 

背筋のトレーニング(図13)
始めはゆっくり勢いをつけないで行う 

痛みがでてしまったら
 運動中のみの痛みでは、練習量を減らしたり、練習方法を工夫するだけでよいのですが、日常でも痛ければ、スポーツはさけるべきです。レントゲン検査もおこなわなければなりません。たとえば膝のオスグット病では症状を3つの状態で分けて治療します。

1度:運動後に痛む
 十分なストレッチ、ウォーミングアップを行い、ジャンプや、ダッシュなどの運動の繰り返しは避ける。練習の合間や、終了後にクーリング・クールダウンを行う。運動量は特に制限しない。

2度:運動中も痛い
 1度と同じように運動前に十分な、ストレッチを行う。練習量や、強さを減らす。完全休養日を増やす。

3度:日常生活でも痛む
 日常での歩行や、階段の上り下りでも痛ければ、専門医に行きレントゲン写真などの検査が必要です。 運動は中止し、ストレッチ・軽めのウエイトトレーニング・マッサージなどで症状を見て痛みが改善してくれば、少しずつ運動を開始します。



 

 
「ストレッチについて」
 

 1.何度言っても不足しがち
  いままでストレッチの重要性について何度も言いましたが、関節や筋肉の痛みや、障害を訴える患者さんの多くは、ストレッチ不足によるものです。 ここでもう一度ストレッチの重要性について考えてみます。

2.発育期から年配の方まで

  図1 成長期には筋肉は引っ張られ成人では硬くなっている

成長期の子供は筋肉がつっぱっているものです。これは、成長するのはほとんど骨で、筋肉は骨の成長に引っぱられて成長していくためで、筋肉をよく伸ばしておかないと成長障害を起こすことがあります。(図1) 成人で、いつもは仕事をしていて週1回とか月1回だけスポーツを行う人などは、特によく筋肉を伸ばしておかないと肉離れの原因となります。アキレス腱断裂などを起こし、思わぬ大けがになることすらあります。 年輩の方で、関節が痛むのを老化だと思い(或いは言われて)あきらめているケースに、ストレッチ不足で筋肉が硬くなっていることが原因のことがよくあります。私は運動器官の老化=筋肉の質・量の低下と考えているので、ストレッチで若返ることも可能だと思います。

3.柔軟性は毎日つく?

 運動能力の要素はいくつもありますが、体を痛めずに運動を続けるために最低限ほしいものに柔軟性・力・持久力があります。「柔軟性は毎日つく」という言葉があるように毎日行えばどんどん柔らかくなりますが、少しさぼるとすぐ硬くなります。「力は毎週・持久力は毎年つく」というように、持久力などはなかなか獲得しにくくなります。(図2)

図2 柔軟性はつきやすいはず
        

4.いつ、どれくらい行う

 運動の前後に行うのは当然です。成長期には一日何回も行ってほしいし、身長は主に寝ているときに伸びるのでお風呂上がりや寝る前にも行ってほしいです。 運動前に行うのは、事故を防ぐためで、運動後に行うと筋肉の疲れが早く回復するという報告があります。行う時間は長ければ長いほどいいのですが、実験的には各筋肉を10秒間充分延ばした状態を4回行えば80%ストレッチが完成されているという報告があります。はずみをつけるとかえって筋肉が収縮してしまうのでゆっくり伸ばしてください。

5.関節を痛めないように行う

 関節の柔らかさと筋肉の柔らかさとを混同しがちです。ストレッチの基本は、筋肉だけを延ばして関節を痛めないように行うということです。 たとえば(図3)は、前腕の筋肉を伸ばそうとしていますが実際は手の関節を伸ばしている(或いは痛めている)だけです。なぜなら前腕の筋肉は、肘を越えて上腕(二の腕)についているからで、前腕のストレッチは、(図4)のように肘を伸ばして行わなければなりません。
 
 
 

(図3)  肘を曲げている(間違ったやり方)

 
 

(図4)  肘を伸ばしている。(正しいやり方)

              
ふくらはぎのストレッチも、(図5)のように膝を曲げると、ヒラメ筋のストレッチのみとなり腓腹筋は伸ばされず(図6)のように膝を伸ばして行うと腓腹筋もストレッチされることになります。
 

(図5) 膝を曲げてストレッチをしている
    (腓腹筋は伸ばされていない)

(図6) 膝を伸ばして行うと腓腹筋も伸ばされる

(図7)は、大腿4頭筋(太もも前面)のストレッチですが大腿直筋だけは股関節を越えているので股関節も伸ばさなければすべての大腿4頭筋はストレッチされません。(図8)は股関節も伸ばしているので、すべての大腿4頭筋が伸ばされています。 要は伸ばそうとしている筋肉が体感で延びている感じを実感するように行えばよいと思います。

   (図7) 股関節を曲げている

  (図8) 股関節を伸ばしている

6.どこから行うか

 順番はありませんが、少なくとも下肢(足部から膝関節周囲)と、体幹(股関節・肩甲骨周囲・腹背・頸部)は、ルーチンに行い、さらに個別に行うスポーツにあわせ使う筋肉をよく伸ばします。

7.肉離れを起こした後のプロトコール(治療と復帰の手段

  肉離れとは、筋肉の繊維の断裂または延びた状態です。いい加減に放っておくと復帰に遅れたり、障害を残すことがあります。安静の時期、ストレッチを始める時期、スポーツ復帰の時期を症状を見ながら正確に把握しリハビリを勧めることが肉離れを治すポイントです。

@急性期(受傷日-4日)RICE(安静・冷却・圧迫・挙上)が原則で腫れがこないようにします。消炎鎮痛剤の服用も有効で、初期に3,4日服用した方が治りが早いという報告があります(逆に1週間以上飲むと治りが遅くなる)

A亜急性期(5日-2週)痛みが取れ次第ストレッチを始めます。痛みがない範囲でゆっくり伸ばしていきます。ストレッチをすることで切れた筋繊維が早く正常に戻る働きがありますが伸ばしすぎると切れてしまうので慎重に行います。 この時期から交代浴を始めます。5-10分温めて、1分くらい冷やすことを交互に行います。 痛んでない方と同じように筋肉を伸ばすことができれば筋肉トレーニングを始め、いよいよ復帰に向けたトレーニングを始めます。 ここで注意してほしいのが受傷後10日目に再受傷しやすいと言うことです。これは10日目には約90%筋力は回復しますが筋肉の強さは70%しか回復していないためケガをしやすい状態にあるためです。 痛めた程度によりますが、受傷後3-6週で復帰することを目標とします。